米中が2020年に交わした貿易協定に基づき、中国は米国からモノやサービスの購入を拡大することを約束しているが、21年末でその期限を迎えた。だが、中国の購入額は目標を大幅に下回っており、バイデン政権は対応に苦慮している。ホワイトハウスは貿易協定の一環として削減した一部の関税を復活させる可能性があるが、そうすれば中国の反発を招きかねず、中国は逆に米国からの購入を減らしたり、中国で事業展開している米企業への対抗措置を講じたりする可能性がある。一方、米国が中国の購入不足に目をつぶれば、約束を守らなくとも米国はそれを容認するというシグナルを中国に送ることになりかねない。米企業の多くは中国の巨大市場へのアクセスを維持するため中国との円滑な関係を望んでおり、米政府の対応を注視している。その一方で、中国政府が一部の産業を支援していることを理由に、米国が独自のサプライチェーン(供給網)を構築する必要があるとして、強硬な姿勢を示す米企業もある。