前回は今回の総選挙の争点として政策について述べた。今回の選挙のもう一つの争点は、政策実行能力だ。実行能力を吟味するには、まずは、政策がはたして実現可能なものなのかどうか、という検証が重要となる。
3年前、民主党のマニフェストを見て、これができたら日本は変わるという期待と同時に、財源は空想的で、不安を感じざるを得なかったことを思い出す。
どう政府と党のバランスを取って
政策形成をしていくのか
政策の中身の問題は前回述べたので、ここでは、実際の政策形成の過程に照らしながら「政策実行能力」を考えてみたい。
具体的には、「政府と党のバランス」をどう取って政策形成をしていくのかという問題である。その本質は、既得権益・利害団体とどう切り結び、官僚組織をどう使いこなすのか、ということである。
なぜなら、「政府」の政策は、基本的に、官僚組織が積み上げてきた知識・経験、さらには既得権益との調整によって形成されていくからである。日本維新の会(以下、維新の会)の石原慎太郎代表の言葉を借りれば、「一貫性・継続性しか考えない官僚組織」との戦いである。
このような継続性のある「政府」の考え方を、党、つまり政治が、選挙で約束した目新しい政策・利害のもとで、どう「政府」に落とし込み、現実の政策につなげていけるのか、これが現実の政治プロセスだ。
したがって、政策実現に当たって「政治主導」が発揮できる場面というのは、次の2つの場面である。