『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』唯一の公式サブテキスト『【電子書籍限定】『独学大全』公式副読本』が発売された。この一年間に集まった様々な独学の悩みを解決するとともに、『独学大全』英語、国語、数学、経済学、歴史……など、それぞれの学問分野の学びにどう生かすかについて、徹底的に解説している。「読書猿 百問百答」から、一部を公開する。

数学で「問題の丸暗記に意味はあるのか」への超納得の回答Photo: Adobe Stock

[質問]
 数学の勉強法に悩んでいます。やはり問題のパターンを暗記した方が効率が良いのでしょうか?

テキストを「ちゃんと読む」という意味で、暗記は有効です

[読書猿の回答]
 パターンの暗記は、効率は良くないです。ただわからない問題に何時間も悩んで、数学にとことん嫌気が差し、勉強自体を回避するようになる(あるいは数学自体を捨てる)よりはずっとマシです。

 実は「暗記数学」にはもう一つ良い点があります。それは、数学の勉強というと問題を〈解く〉ことしか思いつかないレベルの人に、数学における〈読む〉ことの重要性を教える点です。

 文章の世界には「読まない人は書けない。書かない人は読めない」という言葉があります。同様に数学においては「読まない人は解けない。解かない人は読めない」ということができます。読むことにもっと重心を置けば、解くことの効果も上がり、理解も正答率も上がっていくでしょう。これがおすすめの勉強法の軸となります。

 何を読むのかといえば、教科書、参考書、問題集の問題と解答・解説、過去問と解答・解説、模擬試験の問題と解答、つまりすべてですが、手始めに最近やったテストと自分の解答はどうでしょうか。

 具体的な読み方は、刻読、段落要約、注釈という精読のあらゆる要素を盛り込んだ『独学大全』の技法「レーニン・ノート」がおすすめです。

 つまり、大事なところに印を付け、自分なりの言葉で何をやっているか要約し、不明な点や忘れた定理には注釈を付け、さらにコメント(つっこみ)も加える。

 ここまで手を加えたテキストは、数学のものであれ、深く理解でき、その上忘れないものになっているはずです。

※この記事は、『【電子書籍限定】『独学大全』公式副読本』からの抜粋です。