カザフスタンが抱える石油や石炭、貴金属の巨大な資源は、ソ連崩壊後の同国民に豊かな未来を約束していた。中央アジア最大の旧ソ連国であるカザフは、ウラン生産量だけで世界の4割を占める。にもかかわらず、富の分配を怠ったことで反政府派を生み出し、結果的に大規模な暴動を招くに至った。怒れる国民の矛先が向かったのは汚職と所得格差、そして一握りのオリガルヒ(新興財閥)が握る突出した富だ。くすぶっていた不満は燃料価格の引き上げをきっかけに、国家経済や先制的な指導者らに対する抗議デモへと発展した。カザフの危機は7日、カシムジョマルト・トカエフ大統領が警察と軍隊に対し、デモ隊への無警告発砲を許可したことでさらに深まった。カザフではすでに、治安部隊とデモ隊の衝突により数十人の死者が出ており、ロシアはトカエフ氏を支援するためパラシュート部隊をカザフに派遣した。