午後のワイドショー「ゴゴスマ」(TBS系)を、東海ローカルから全国の人気番組へと躍進させた立役者である同番組MCでフリーアナウンサーの石井亮次氏が「話し方の極意」を初めて明かした『ゴゴスマ石井のなぜか得する話し方』が1月12日に発売になった。
上手にしゃべることではなく、相手を楽しませて、場の空気をよくすることを目標にかかげ「他人(ひと)はいじるな、自分をいじれ」「会話は合気道」「究極のほめテク」など、サービス精神にあふれる独特の会話術を披露。話し方で損をしているすべての人の救世主ともいえる本書から抜粋し、具体的な話し方のテクを紹介する。
会話のラリーをいきなり「ブチっ」と切る言葉とは
会話はキャッチボールだとよく言われます。言葉のやり取りの動きとしてはもちろんそうなんですが、自分のほうに球(ボール)がある時の動きはバレーボールをイメージするといいのではないかとひらめきました。受け取ってすぐに投げ返すのではなく、3段階でゆっくりふんわりと相手に球を戻します。
バレーボールは「レシーブ」「トス」そして最後に「アタック」でボールを相手に返しますよね。この一連の流れを会話に置き換えると、最初に相手の言葉をちゃんと拾う「レシーブ」がある。次に、そこから次の展開を考えて「トス」を上げる。最後の「アタック」は試合ではないのでバシッと打ち込まないで、ふんわり相手に返すというのはどうでしょう。相手側も「レシーブ」「トス」、そして、ふんわり返してくれる。そんなふうにラリーが続くと、会話はどんどん盛り上がります。
「〇〇さん、今日のシャツ、素敵ですね」
「ありがとう!(レシーブ) めっちゃお買い得だったんですよ。(トス) あと10枚くらい買っといたらよかったかな(笑)(アタック)」
「さすがですね!(レシーブ) センスいいだけじゃなくてお買い物上手って最高ですね。(トス) 今度一緒に買い物に連れて行ってくださいよ(アタック)」
「ぜひ! ご一緒しましょう」
このやさしくて楽しい言葉のラリーを、いきなり「ブチッ」と切ったり、相手が受け取れないくらいに「バシッ」と強く打ち込んだりする言葉があります。それが「でも」と「だって」です。
「でも」「だって」のマイナス返しは絶対NG
「でも」「だって」で相手の言葉に反応することを、僕は「マイナス返し」と呼んでいます。たとえばこんな感じ。
「○○さん、今日のシャツ素敵ですね」
「でも、これ安物よ」
「値段なんか関係ないですよ、センスの問題です」
「センスなんてないですよ。だって、適当に選んだんですよ……」
こういう会話、疲れませんか? 僕はへとへとになります。無意識に使っている人もいるかもしれませんが、「でも」「だって」は楽しい会話·やさしい空気を妨げる大きな要因の一つです。僕は、マイナス返しする人とはなるべくしゃべらないようにしているくらいです。ストレスがたまる一方ですから。
バレーボールにたとえるなら、レシーブせずに、いきなりブロック! という感じ。勝負をかけて試合しているわけじゃないんですから、そんなに「壁」をつくらなくてもいいんじゃないかと思います。