欧州連合(EU)域内への2021年の違法な越境件数が17年以降で最多となっている。ここ数年の問題がいまだ解消されていないようだ。EU加盟各国の当局者によると、昨年は20万人近くの移民がEUへの越境を試みた。20年と比べると57%の増加で、19年比で約33%増だ。20年は新型コロナウイルス感染症を背景とした移動制限で、北アフリカなどからの流入が抑えられていた。欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)が公表した暫定値によると、主にリビアとチュニジアからイタリア南部に向かう地中海中央ルートでは、昨年は83%増の6万5000人余りとなり、再び最も人気の高いルートになった。不法移民の阻止はEU加盟国間での争点となっており、11月にベラルーシのポーランド国境付近に数千人の移民が押し寄せた際に表面化した。ポーランドは当時、ベラルーシと国境を接していないドイツがベラルーシと2国間協議を開催したことに不満を漏らした。