石油資源の豊富なサウジアラビアは自国経済の近代化を目指して世界のトップ企業を誘致してきた。しかし、同国のビジネス環境は以前よりも企業に不寛容になり、投資家は幻滅しつつある。ウーバー・テクノロジーズ、ゼネラル・エレクトリック(GE)などの外国企業は、何千万ドルにも上る予想外の課税に打撃を受けた。ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、ギリアド・サイエンシズなどの製薬会社は、自社の知的財産が盗み取られていると数年前から訴えているが、改善は見られない。その結果、サウジへの外国投資の低迷状態は一向に変わらず、一部企業はサウジでの事業規模を縮小したり、約束していた拡張計画を先送りしたりしている。こうした状況は、サウジの実質的支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子にとって打撃になっている。皇太子は2016年、ビジネス環境を改善させ世界的な技術革新のハブを誕生させることで、石油と無関係の新たな産業を構築することを約束した。それ以降、世界経済の脱化石燃料の動きの中で、サウジの石油収入への依存度軽減の緊急度が増している。