「すべての悩みは対人関係の悩み」と喝破したのはアルフレッド・アドラーという心理学者ですけど、極論じゃんと言いたくなりつつも否定できない苦い思い出がありませんか。わたしにはめちゃくちゃあります。特に「人との距離の取り方」って本当に難しいです。学生の頃ある定食屋でプロサッカー選手と鉢合わせたことがあるんですね。舞い上がってサッカーの戦術について質問したら、横にいたマネージャーさんに獲物を狩る目で睨まれました。当然です。今でも思い出すと胃から酸っぱいものが込み上げます。どうすれば人と「適切な距離感」を保って付き合うことができるのでしょうか?
会話における人間関係の問題点と解決策、そして悲しみと喜びを一つひとつ紐解いていく『会って、話すこと。』という本があります。この本の中で、著者の田中泰延さんは「おかしい人のおかしさは人との距離の取り方のおかしさが100%」と言い切ります。おかしい俺はどうすりゃいいのよ。聞きました。(構成:編集部/今野良介)

「距離感がおかしい人」が共通して言うワード

「距離感がおかしい人」というのがいる。

たいして仲良くもないのにタメ口で話してくる人、他人が言ってほしくないことを言う人、なにかにつけて意見を言おうとする人、さらには物理的に顔を近づけすぎて話す人までいる。

おかしい人は100%「人との距離の取り方」おかしいぶっ飛ばすぞ Photo: Adobe Stock

「人との距離の取り方のおかしさ」の多くは「欲を出す」ことに問題がある。前から話したかった人と話した時(もっと親友っぽくなれるのではないか)と欲をかいて要らぬことを言う。好意を抱いた相手と2人で食事をしたからといって(今夜なんとかなるのではないか)とすぐ手を出す。多くは破滅への道である。

この世で一番大事なのは「人との距離の取り方」で、おかしい人のおかしさというのは人との距離の取り方のおかしさが100パーセントなのだ。勝手に間合いを詰めて自滅するぐらいなら、離れていたほうがいい。

わたしがこう言うと、反論してくる者がある。

「そんなこといっても、一歩踏み込まないと、他人とは仲良くなれないだろう」

これこそ、わたしが50数年生きて見てきた「距離感がおかしい人」が共通して言うワードだ。

考えてみてほしい。人はどんな人に好意を持つのか。

ズカズカと距離を詰めてきた人ではない。

ブラッド・ピットがあなたに話しかけてきて一歩踏み込んできたか?

トム・クルーズがあなたの家に訪問してきて距離を縮めてきたか?

自分がするべき仕事をしたり、自分にしかできない能力を発揮すれば、他人が距離を縮めようとしてくる。そうなればあなたが応じるか、応じないかを決めることができる。それが主体的に生きるということだ。

人との距離は、じつは自分一人で自分を磨いてつくるものなのだ。