このように韓国政府の対中姿勢は極めて従属的である。

 これに対し、韓国国民は中国嫌いである。この現象は韓国のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備に対する中国の報復から始まった。

 東アジア研究院の調査によれば、中国に対し「良くない印象を持つ」とする回答者の割合は2019年の51.5%から20年59.4%、21年73.8%と増え続けている。否定的印象を持つ理由を尋ねると、「THAAD報復など強圧的行動のため」(65.2%)、「韓国を尊重しないため」(43.8%)という回答が多かった。

 軍事的脅威と認識される国として中国を挙げた回答者の割合は、20年の44.3%から21年には61.8%に増加した。半面「韓米日三角軍事安保を強化すべき」という回答も53.6%から64.2%に増加した。

 それでも文政権は中国に対する政策を変えられない。これは文大統領の体質から来るものではないか。

文政権の外交が
中国におもねるわけ

 文大統領が中国に対して強く出られない理由は次の2点であろう。

 第一に、文大統領は、北朝鮮に影響力を行使できるのは中国であり、北朝鮮の安定や核・ミサイル開発、挑発行動の抑制には中国の協力が不可欠だと考えていること。

 第二に、韓国の輸出の25.8%が中国向けであり、これは日米を合算した額よりも大きいため、韓国経済の発展には中国との協力が欠かせないと信じて疑わないこと。

 しかし、上記の2点はいずれも文大統領の中国への幻想である。実際の中国の行動を見ると、中国は韓国が考えるように好意的な行動は取っていない。その現実を直視できないから、文大統領のように中国共産党樹立100周年を祝賀できるのである。