大名行列Photo:PIXTA

江戸時代、大名が供を従えて行列を成し、江戸の町を練り歩く姿を時代劇などで目にしたことがある人も多いでしょう。そんな大名行列には、それぞれの大名家のプライドが表れていて、それゆえに多額の費用がかかっていたといいます。どんなことにお金が使われていたのか、また知られざるルールとは。(江戸文化歴史研究家 瀧島 有)

大名行列に遭遇したら
「必ず土下座」というわけではなかった

 大名行列と聞いて、皆さんはどんな光景を思い浮かべますか。

「どこまでも続く長い行列。沿道には人々が正座……というより、土下座して頭を下げている」

 そんなイメージを持つ人も多いのではないかと思います。

 しかし実は、「どこまでも続く長い行列」も、「沿道に土下座している人々」も、事実とは異なったイメージだといえます。一体何が間違っているのでしょうか。

 大名行列の実態は、「驚くべきハリボテ」でした。それゆえに、巨額の経費がかかり、各藩の財政を非常に圧迫していったのです。今回はその内実を、見ていきたいと思います。