岸田文雄首相は対中外交について「毅然と対応しつつ、隣国関係を安定させていく、したたかな外交が必要」と自著で論じている。しかし岸田政権は中国、そして韓国に対しても、配慮に腐心して反論ができない、「言われっぱなし外交」に陥っている。「佐渡島の金山」の世界遺産推薦を巡る問題と、新疆ウイグル自治区での人権侵害を非難する国会決議において、その疑念は高まっている。(イトモス研究所所長 小倉健一)
韓国・中国への配慮に腐心する岸田政権
首相の言う「したたかな外交」とは?
岸田文雄首相の言う「したたかな外交」とは何か。この回答に自信のある自民党議員は減っているのではないか。
岸田首相は「令和版所得倍増計画」「新しい資本主義」など歓心を買う言葉を並べるが、その実態は不明確で具体策に乏しい。外交も、韓国や中国への「配慮」に腐心しているだけで、具体的な「したたかさ」がうかがえないからだ。
感染が急拡大している新型コロナウイルスの対応も自治体任せの色が濃い。こうした岸田政権のスタンスは、国家とは何か、国益をいかに守るかという最重要問題を私たちに問いかけている。