世界史とは民族問題の歴史である
「ビジネスの場で重要なのは教養であり、教養とは世界で活躍するためのパスポートだ」
これは私の持論で、著書『ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社)にもそう記しました。
教養を身につけるには、あらゆる文化や歴史の土台となっている「宗教」を知らねばならない。それが同書を執筆した理由でした。
すべての世界史は民族の歴史です。多くの識者が「歴史は知っておくべきだ」と述べており、それはまさにその通りなのですが、世界を構成する民族を知らずに歴史を理解することはできません。
「教養を身につけるためには、歴史や宗教と同様に民族を理解せよ」
こういうと「仕事とは関係がない」「高尚な趣味の話」と誤解されることがありますが、今日起きている世界の問題のほとんどは民族の問題と何らかの関係があります。
紛争、グローバルビジネスの軋轢、格差、人種差別、ナショナリズムの台頭、国家の緊張関係からくる経済摩擦まで、すべては民族について理解しているかいないかで視座が大きく変わってきます。
一つの事象から、コンテクストが読み取れるか、表面的な理解で終わってしまうか。これこそ、普通の働き手とビジネスエリートの境目といっても過言ではないでしょう。