新型コロナウイルス感染拡大の本格化から約2年。その間、世界各地の行動制限やサプライチェーン問題、変異株の台頭など多くの困難に直面しながら、市場では息の長い株高が続いてきた。米著名投資家ケン・フィッシャー氏は今こそ、「市場はいつも正しく効率的だ」という原則を思い返すべきだと主張する。
株価が底打ちして以来
市場懐疑派は誤り続けてきた
パンデミック発生から2年。投資の最大の教訓はいまだ広く学ばれていない。それは、市場に逆らわないことだ!市場は誤るより、正しい場合がはるかに多い。これこそ今、受容すべき点だ。
2020年3月の株価底打ち以来、市場懐疑派は、基本的にあらゆる局面で誤ってきた。新型コロナ感染拡大や各種制限継続にもかかわらず大きく上昇だと? 「市場は誤っている!」。そして彼らは、底打ち後に割安株でなく成長株が牽引した点も「誤り」であり、この誤りはワクチン配布が確実に「正す」だろうとした。
次に、米国の緊迫した選挙や、連邦議会議事堂襲撃の影響を株式市場が見落としたのは「誤り」。また、デルタ株拡大中の上昇は「誤り」。そして現在、世界の中央銀行の「引き締め」――インフレ上昇中の株上昇や低位な債権利回りは「誤り」。
さらに、サプライチェーン(供給網)問題や対中国を巡る緊張、オミクロン株感染拡大に伴い制限が課される中での株高などなおさらだと懐疑派は主張する。だが、市場は本当に誤っているのだろうか?
ナンセンスだ。確かに、短期間で見れば、市場は非合理的で非効率的な動きにも見えうる。伝説的投資家ベンジャミン・グレアムは、株式を短期的には「投票マシン」と呼んだ。
だが、より長期的にはファンダメンタルズを、合理的かつ効率的に考慮し、広く知られた全情報を価格に織り込む。それが2019年からの展開だ。株式相場は、ほぼ誰も想像できなかった現実を織り込んで形成されてきた。
よって、成功するために考え方を変えよう。市場が誤り非効率的なのではなく、「正しく効率的」なのだと想定しよう。無謀で向こう見ずだと人々は言うだろうが、市場を乗り切る上で最も賢く、最も時の試練に耐えてきた方法だ。このことをきちんと理解するためにも、実際に起きたこれまでの出来事を反転して説明してみよう。