現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の代表作『1%の努力』では、「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、思考の原点をマジメに語っている。この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)
ブラック企業を「潰す方法」
この世で有害なものは、「ブラック企業」です。
ブラック企業とは、従業員やアルバイトの「やりがい」や「時間」を搾取して、安い給料でお客さんに高いサービスを提供させたり、長時間労働させたりして、「経営者だけ」がお金持ちになる企業のことです。
そんなブラック企業を潰す方法は、たった1つしかありません。それは、従業員が一斉に辞めることです。
「こんな給料や待遇では続けられない」と全員が辞めてしまえば、経営者は嫌でも高い給料を出さざるを得なくなります。労務環境も改善に乗り出します。
しかし、現状は、搾取され続けたまま働いてしまっています。
「辞める選択肢」を与える
僕はよく、「生活保護をもらえ」とアドバイスをします。それは、個人を助ける意味でも言っていますが、もっと広く社会のためを考えて言っている面もあります。
ここで大事なことは、「嫌だと思ったらさっさと辞められる」という選択肢を選べることです。
ブラック企業で働き続けている人は、「いまここを辞めたら家賃が払えなくなるし、食費もまかなえなくなる……」という状態だから、辞めることが選択できません。
そうであるならば、辞める選択ができるために、「生活保護があれば大丈夫だ」ということをもっと認知させないといけないと思うのです。
「ホワイト企業」だけを増やす好循環
この話をすると、次のような反論がきます。
「そんなことをやったら、労働意欲が失われるじゃないか!」
まったく間違っています。生活保護をもらったとしても、その人が「これで一生安心だ」と何もしなくなると思いますか?
「まずはブラック企業を辞めて、次はちゃんとした企業を選ぼう」
「生活保護に頼りながら、自分の価値を認めてくれるところで働こう」
「お金の心配がなくなったから、この隙にスキルを磨いて、もっと稼げるようになろう」
このように考える人がほとんどだと思います。
という方向に進めば、ブラック企業がどんどん潰れて、ホワイト企業のサービスや商品に、人はお金を使うようになります。すると、ホワイト企業の求人や採用が増え、そちらに人が流れるようになります。
その好循環を生み出すためにも、ブラック企業は淘汰されなければいけないのです。
あなたは「搾取する側」ですか?
その淘汰のためには、「ブラック企業で商品を買うのはやめましょう」と言ったってムダです。なぜなら、ブラック企業は、社員から搾取した時間とお金によって「安くて質もそこそこ良いサービス」を提供できるからです。
安くて良いサービスなら、消費者はそちらに流れてしまうのは止められません。
だからこそ、搾取されている社員やアルバイトが辞めるしか方法はないのです。
ということで、僕の考えに反論する人は、「奴隷が喜んで働いているじゃないか」という搾取する側の考えの持ち主だと思うのですが、みなさんはどちらでしょうか?
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、40万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。