外れたパウエル氏の読み、1年でインフレ懸念増大Photo:Pool/gettyimages

 ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のインフレに対する見方はこの1年で進化した。物価上昇は新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴う一時的な現象との読みは大きく外れ、インフレの高止まりは今も続いている。

 FRBが26日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で3月の利上げ開始を示唆したのも、物価上昇圧力を受けてのことだった。FRBは利上げ開始から後程なく、バランスシートの縮小にも着手する構えだ。

 しかしながら、パウエル氏は1年前のFOMC会合後の会見では、物価上昇は持続しないとの見方を示していた。目標の2%を割り込む状況が長年続いており、下振れ期間を補う上で「やや高めのインフレを歓迎する」とさえ言い放っていた。「私の世代などが見て育った厄介なインフレは遠く、あり得ないように思える」

 パウエル氏はほぼ2021年前半を通じて、インフレ加速は、間もなく解消されるであろうサプライチェーン(供給網)の混乱が要因との考えを示してきた。