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DXを進める切り札として、クラウド活用を推進する専門チーム「CCoE(Cloud Center of Excellence)」を設置する企業が増えている。縦割り、人材不足、セキュリティ……クラウド活用におけるさまざまな障壁に、CCoEはどう立ち向かえばいいのか。大日本印刷は、いち早くCCoEを立ち上げ、成果を上げた企業の一つだ。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
※本稿は、酒井真弓著『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』の一部を再編集したものです。

出版不況を受け、新たな収益モデルを探す印刷業界

 出版不況はサプライチェーン全体に影響する。経済産業省によると、国内の印刷市場はこの10年で1兆9039億円の縮小。印刷業界では、新たな収益モデルを探る動きが活発化している。

 最大手の一つ、大日本印刷(DNP)は、紙媒体や出版関連の売上高が減少する一方、業務代行サービス、半導体やディスプレイ製品等の事業の強化を図り、リチウムイオン電池用バッテリーパウチでは世界トップシェアを獲得している。いわゆる「両利きの経営」を地で行く変革を遂げてきた。

「最先端のDXを積極的に吸収しながら、世界中のあらゆる人にDNPのサービスを届けたい」、そう語るのは、情報イノベーション事業部 DX基盤開発部 部長で初代CCoEリーダーの和田剛だ。

DNPの初代CCoEリーダー 和田剛氏(提供:DNP)DNPの初代CCoEリーダー 和田剛氏(提供:DNP)

 CCoEとは、Cloud Center of Excellence(クラウド・センター・オブ・エクセレンス)の略で、企業内でクラウドを推進していくための仕組みを整え、広めていく部門横断型の専門チームを指す。DXの鍵は複数のクラウドを柔軟に使いこなし、アイデアを短期間で具現化すること。その中核を担ったのが、和田の率いるCCoEだった。