2018年に経産省がいわゆる「DXレポート」を発表してから3年あまりがたったが、今年も多くの企業や組織がDXを進めていくだろう。「DXとは何か」とはよく聞かれる問いだが、DXの現場について取材をしていると実にさまざま。「DXをうまく進めるにはどうしたらよいか」の解もまた一つではないが、DXがうまくいっている場合、リーダーにはある共通する特徴があるという。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
事例はいろいろ、共通性も再現性もない
2022年が始まっていく。今年も企業トップの年頭所感には「デジタル化」「DXの加速」の文字が並んだ。
一口に「DX」といっても、目的、課題、アプローチ、どれをとっても組織によってまちまちだ。昨年は『ルポ 日本のDX最前線』、『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』という2冊の書籍の制作を通じ、さまざまなDXの現場を垣間見た。話を聞いた企業・組織のエピソードはどれもバラエティーに富んでいて、取材すればするほどDXとは何かを一言では説明できなくなってしまった。そのため「あとがき」を書くのを諦めたのだが、それは少なからず読者にも伝わっていて、「(この本に書かれていることは)共通性もないし再現性もない」と、Amazonで星2つという評価をいただいたりもしている。
だが、「共通性もないし再現性もない」というのは非常に共感できるポイントだ。