カヌーで塘路湖から達古武湖へ。鳥のさえずりを聴きながら、あまりの穏やかさに2回寝落ちした Photo by Mayumi Sakaiカヌーで塘路湖から達古武湖へ。鳥のさえずりを聴きながら、あまりの穏やかさに2回寝落ちした Photo by Mayumi Sakai

世界中がコロナ禍に翻弄されて約2年。テレワークが普及し、どこにいても働ける環境になった今でも、実際にワーケーションをしたことがある人は意外と少ないのではないか。自宅を出て、普段と違う環境でワーケーションをする意義を改めて考えてみた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

ワーケーションは「サボり」なのか

 フリーランスとして働く筆者にとって、仕事とそれ以外が境界なく混じり合うのは自然なことだ。働く環境は誰かが用意してくれるものではない。その代わり、やるべきことをやっていれば、誰に断るでもなく、その日の気分で働く場所や環境を選べる。

 こうした働き方はフリーランスだから許されるもので、労務管理の観点から一般の会社員には難しいとされてきた。政府が「Go Toキャンペーン」の活用を呼びかけ、ワーケーションの普及に取り組むと言及した際には、「有給取得や在宅勤務すらままならない中で、ワーケーションなんて順番が違う」という意見も目立った。

 一方で、コロナ禍を機に、働き方や生活スタイルを見直した人も多い。オフィスワークとテレワークを柔軟に使い分けることで、自らモチベーションを高め、生産性を上げようとする会社員や、それを後押しする企業も現れている。筆者から見れば、比較的安定した雇用の椅子を確保しながら、フリーランスの自由さも享受できるいいとこ取りで、ちょっとうらやましいところもある。