とどまることを知らないオミクロン株による新型コロナウイルスの感染拡大。この事態を受けて、国は健康保険適用の無料PCR検査の対象を、実質「希望する人全員」に広め、さらに当初予定していた期間から延長することを決めた。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第236回では、制度の内容を詳しく確認しよう。(フリーライター 早川幸子)
PCR検査や抗原検査の無料期間を延長
無料検査事業の適用対象も拡大された
年始の願掛けで、「今年こそ、コロナ禍の収束を」と願った人も多いのではないだろうか。だが、その期待は大きく裏切られている。
新たな変異株「オミクロン株」の出現により、年明けからほどなく、新型コロナウイルス感染症は、今まで以上に爆発的な感染拡大となった。一時期、二けた台まで減っていた全国の新規感染者数は、2月1日には8万人を突破。第5波のピーク時の1日の感染者数は2万5992人(21年8月20日)だったので、その3倍だ。
デルタ株などに比べて、軽症で済む人が多いと言われているオミクロン株だが、感染者数の増加とともに、重症患者や死亡者も徐々に増えてきている。重症者の中心は、高齢者や基礎疾患のある人で、彼らの命を守るためには、健康な人も感染を広げない努力が必要だ。
オミクロン株のやっかいなところは、ワクチン接種をした人にも感染が広がっており、無症状の人が多いという点だ。そのため、感染していることに気づかず、自分でも知らない間に感染を広げている可能性がある。
感染を拡大させないためには、感染した人はできるだけ他者との接触を避ける必要があるが、感染者の特定にはPCR検査や抗原検査などが欠かせない。
昨年11月から、感染拡大を防止しながら日常生活や社会経済活動を継続していくために、一定要件を満たした人は検査を無料で受けられる措置がとられていた。
この無料検査の適用範囲が、感染爆発を受けて広げられ、感染の不安のある人は誰でも受けられるようになっている。どのように見直されたのか。無料検査の対象者や適用期間の変更点を見ていこう。
●実質、希望する人誰もが受けられる制度に変更された