【就職したことがないのに株式投資で4.5億円】
「資金600万円を2年後に1億円にしたい」という女性の個人投資家

中学2年から株ひと筋！ 株式投資歴30年以上のベテラン専業投資家、かぶ1０００が『賢明なる個人投資家への道』を著した。中学時代から体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にお金儲けのイロハを教えてもらった。中学3年生で300万円、高校1年で1000万円、高校2年生で1500万円へと株式資産を増やす。会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破。アルバイト経験さえない根っからの個人投資家が、学校では絶対に教えてくれないお金の知識と増やし方を徹底指南する！

まずは1000万円にすることを考える

私は、株価変動率の低いバリュー（割安）株を選んで、評価されるのをじっくり持つという投資スタイルです。

いまの株式投資では、あまり人気が高くない投資スタイルですが、日常的な細かい値動きを気にしたくない私にはぴったりの投資法であり、だからこそ長く続けて着実な成果が出ていると思っています。

もっと早く成果を上げたいと思うのなら、私のようにじっくり腰をすえて行う投資法は向いていないかもしれません。

ただし、短期になればなるほど競争も熾烈になりますから、そのなかで勝ち抜いていくには、非常に難しいのも現実です。

私は以前、「いまある資金600万円を年後に1億円にしたい」という相談を女性の個人投資家から受けたことがあります。私が本格的に株式投資を始めたときと同じ金額の元手です。

彼女はまったくの初心者ではなく、ある程度の投資経験がありました。短期で資産を増やしたいという思いが強すぎるのか、買ったり売ったりを頻繁にくり返している様子でした。

買った株は上がらず、手放した株に限って上がるということが続き、資産が一向に増えないと悩んでいたのです。

正直なところ、600万円が2年で1億円に増える方法があるなら、逆に私が知りたいくらいです。そんな方法を知っていたら、私の資産はいまの何倍にもなっていることでしょう（笑）。

どうしても600万円を1年で1億円にしたいなら、元手がゼロになってもいいと腹をくくり、ハイリスクを覚悟で株価上昇が期待できる銘柄などに集中投資するほかないでしょう。

株価が10倍になる銘柄を「テンバガー」といいます。もともとは野球用語で、1試合で10塁打を記録することですが、転じて10倍まで株価が急騰する銘柄を指します。

私は個別銘柄でテンバガーを達成した経験は1度しかありませんが、運よく未来のテンバガーを見つけて、600万円を全力投資しても6000万円ですから、1億円には届きません。

彼女に「元手がゼロになってもいいという覚悟がありますか？」と尋ねたら、「それはイヤです」と首を横にふりました。

「ならば、わずか2年で1億円という夢のような目標設定を見直して、リスクを抑えながら中長期で地に足をつけた投資をすることで、まずは600万円を1000万円にすることを考えたほうがいいのではないですか？」とアドバイスしました。

すると、そののちに丁寧なお礼のメールをいただいたので、おそらくわかってくれたのだと思います。