KDDIは2020年、クラウド活用を推進する専門組織を発足させた。その成果としてコンシューマ向けのサービスでクラウド活用が進む半面、クラウドが使われていることを知らない部門も存在したという。また、通信インフラを担う会社であるだけに、セキュリティを担保するためにはクラウドなんてとんでもない、という声もあった。こうした組織でどのようにクラウド活用を進めたのか、リーダーに話を聞いた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
※本稿は、酒井真弓著『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』の一部を再編集したものです。
「CCoE(Cloud Center of Excellence)」とは、企業にクラウドを普及させるための戦略部門である。教科書的に言えば、ガバナンスやベストプラクティスを整備し、クラウド活用におけるさまざまなハードルを取り除いていくことが求められる。
しかし、CCoEの活動に腐心すればするほど、これだけでは何も変えられないと気づく。昔ながらのやり方が色濃く残る組織でクラウドを導入しても、クラウドは有効に機能しない。柔軟性や俊敏性といったクラウド本来の特徴を享受するためには、必然的に、組織がこれまで培ってきたビジネスプロセスやカルチャー、働く人のマインドにまでメスを入れることになる。KDDIのCCoEも、同様の課題に突き当たった。