携帯キャリア3社が販売代理店を 「死活格付け」の横暴、KDDI内部資料で判明!Photo:AFP=時事、西村尚己/アフロ、PIXTA、Reiji Murai

携帯キャリア3社とそれらの販売代理店。その奴隷のようなゆがんだ関係の実態については、長らくベールに包まれていた。そこで、ダイヤモンド編集部では、KDDIが販売代理店に示した内部資料を入手。巧妙に代理店の経営を支配する「隷属の構図」が明らかになった。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

KDDIが黒字の代理店に身売り持ちかけ
背景に「奴隷のような関係」

「もはや事業を売却してはいかがでしょうか」――。KDDIの担当者から突然の申し出を受けた販売代理店「auショップ」を営む店主はショックを受けた。売却金額まで明記された身売りの提案は、近隣でauショップを運営する別の販売代理店に営業権を引き渡すという衝撃的な内容だった。

 もちろん業績不振で経営が立ち行かなくなったのならば、売却もやむを得まい。だが、この販売代理店は黒字の店舗だ。店主は「自分の店の行く末を他人に決められる筋合いはない」と怒りをあらわにする。実は、KDDIがその身売り話を持ち掛けてきた理由は明白だった。

 この販売代理店は直前に、KDDIの店舗評価で「Dランク」を付けられていたのだ。KDDIによる店舗評価の最低ランクで、今後は「支援金」が支給されないため、経営が厳しくなってゆくのは明らかだった。

 このように、携帯キャリアから「退店勧告」を突き付けられる販売代理店が全国で相次いでいる。販売代理店の経営はキャリアから受け取る支援金に依存しているため「奴隷のような関係」は続く。

 そのゆがんだ関係は長くベールに包まれていた。そこで、ダイヤモンド編集部では、KDDIが販売代理店に示した内部資料を入手。巧妙に販売代理店の経営を支配する構図が明らかになってきた。