大手塾で算数講師の経験を積んだ後、算数専門のプロ家庭教師として約20年間、2000人以上のお子さんを指導してきた中学受験専門のカリスマ家庭教師・安浪京子先生は、その経験から「ノートをひと目見ると、その子の学力がわかる」と言います。
ノートとは、思考を整理して、それを自分や相手(採点者)に伝える練習をするための基本の道具。しかし、子どもはもちろんのこと、保護者ですら、ノートの価値を低く見積もっている方が多いそう。6年生でもノートの書き方を知らない子は多く、その状態のまま、受験勉強に励んで伸び悩んでいる子は多いのです。
本連載では、「ノートの正しい書き方を知らずして、学力は上がらない」と断言する安浪先生が、指導の中で必ず教えるノート術を初公開した話題の書籍『中学受験 必勝ノート術』の中から、一部を抜粋し、ご紹介していきます。(本書をさらに詳しく紹介した動画もチェック!)(初出:2022年2月20日)

『中学受験 必勝ノート術』より

子どもが陥りがちなNGはだいたい同じ

 これまでの約20年間の経験を振り返ると、最初の授業でノートを見せてもらってから“ノート自立”するまで、結局いつも同じようなことを子どもたちに言っています。子どもが陥りがちな「NG」は似通っているのです。

 そこで、よくあるNGと私がいつも「こういうふうに書いてごらん」と指導している、算数ノートの基本の5か条から、まず2つを紹介します。5か条を満たしたOKノートは本書のP59をご覧ください。

1、字のサイズが揃っていない!

字のサイズが揃っていない!(『中学受験 必勝ノート術』より)

 丁寧に書くのはもちろん、字のサイズをそろえて書くことも大事。

 帯分数を見ると、整数部分が分数の2倍サイズで書かれていませんか? これはNGです。

 また、整数・分数の括線(分子と分母の間の線)、加減乗除などの記号(+・-・×・÷・=)が横一列に揃うように書きましょう。これができていないと、式が見にくいばかりでなく、整数・分子・分母の区別がつかなくなり、計算ミスを多発します。

 さらに、子どもは消しゴムできちんと消さずに、字を上から重ねて書いていることがよくあります。これも数字が見にくくなり、ミスの原因になることが多いので注意しましょう。

2、バランスが悪い!

バランスが悪い!(『中学受験 必勝ノート術』より)

 式、答え、計算のスペースをわけ、余白を大切にします。

 1ページを左7:右3程度に区切り(間に線を引いてもOK)、左に式と答え(採点者が見る部分)を書き、右で計算をします。答えにはわかりやすいように下に線を引いておきます。