一読のすすめ

 日本ではまだ国としての形が成立していないころ、ローマは共和政を採用し、広大な国土を持つ帝国を築き上げた。世界史における古代の中心は、ローマにあった。要約では、時系列の流れよりもその時代性を表わすテーマを主に取り上げた。

 本書を通して、剣闘士試合やテルマエなど、ローマと聞いたら思い浮かぶもののルーツにも迫ることができる。ローマを舞台とした映画や漫画を、違った視点で見つめなおすこともできるはずだ。

 タイトル通り、ローマになじみのない方でもわかりやすく読みやすい。本書を手に取り、建国から滅亡にいたる広大な物語を味わっていただきたい。

評点(5点満点)

総合3.8点(革新性3.5点、明瞭性4.5点、応用性3.5点)

著者情報

 本村凌二(もとむら りょうじ)

 東京大学名誉教授。博士(文学)。専門は古代ローマ史。1947年、熊本県生まれ。1973年、一橋大学社会学部卒業。1980年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授を経て、2018年3月まで早稲田大学国際教養学部特任教授。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。著作に『多神教と一神教』『地中海世界とローマ帝国』など。

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