ジョー・バイデン米大統領は混迷を極めた昨年のアフガニスタンからの米軍撤収以降、新型コロナウイルス禍やインフレを中心とする国内問題の対応へと軸足を移してきた。だが、ロシアがウクライナ東部ドンバス地方への派兵を決めたことで、外交政策を巡る危機が政策課題のトップに再び浮上した。国際社会に対してのみならず、ロシアとの対立およびその代償を巡り意見が割れる米国民を前に、バイデン氏は指導力を試されている。民主・共和両党の指導部はロシアの侵攻を受けてウクライナとの連帯に支持を表明。しかし、両党からは、一段と強硬姿勢で臨むべきという意見がある一方で、ウクライナ危機への深入りは回避すべきとの声も上がっており、バイデン氏は相反する圧力にさらされている。