物事に100%はない
白か黒かで考えない

 設備投資の決断は、実際は非常に微妙な判断になることがほとんどです。

 ある設備を導入すれば、完全無人、ボタンを押す必要もなく次から次へと正確に精度高く生産できて、しかも故障知らず。値段もお手頃……もしそんな機械があったら、私でなくてもみんな飛びつくでしょう。

 でも現実は、そんな機械を出してくれる「ドラえもん」いません。

 いっぽう、従業員側。私が、新しい機械を導入しようと提案すると、

「その機械ではできない仕事が残る」
「不良が増えるかもしれない」

 ……たいていこんな答えが返ってきます。でもよく聞いてみると、数年に1回しかないような発注に対する話だったりするのです。

 改善に対する思考は、完璧でなくてもよく、まず大きなところから始めればいいのです。80%自動化できれば、100点です。3分の2効率化できれば十分、半分でも、3分の1でもやる価値があります。

単純な経費カットはバカのやること!
増益だけを見るな

 改善、効率化というと、すぐに経費カット、残業などの人件費カットと思いたがる人がいます。いわゆる「リストラ」です。

 でも、そんなことで利益が爆発したりはしません。なぜなら、やり方を変えていないからです。

 景気が悪く、受注が少ないため、いっそ設備をなくし、ラインや工場を閉鎖し、余剰人員を減らそうとします。実に安易で、一見、正しいようにも思えます。減収になっても、利益は多少増えるかもしれません。

 しかしこれは、「バカ」のすることです。中小企業の場合は特に。なぜなら、今までできていたことが、できなくなるからです。

 やめてしまった仕事は、二度と受注できません。さまざまな事業があり、一部をやめたり切り売りできる大手企業ならまだしも、中小企業なら、それは緩慢な廃業であり、自殺行為に近いものがあります。

 その事業自体に見込みがないなら、早くやめた方がいいでしょう。しかし、事業を続けると判断したなら、現状の売上の中で、どうやって利益を残すかを考えて改善、投資をするしかありません。頭を使って考えるべきはその部分であって、それ以外は改善の役には立ちません。

 そこに、ありったけの知恵を絞ってください。