ロシアによるウクライナ軍事侵攻拡大は、単に世界に影響をもたらすだけではすまない、まれに見る事態である。それは世界を一変させるものだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、主権国家に一層深く踏み込んで支配下に置くことで、冷戦終結後の欧州の安全保障構造を粉砕している。何がそれに代わるのか、誰にも分からない。これまで3人の米大統領が続けて掲げた公約――他の国際問題を一掃し、中国との競争に集中する――に取り組む米国の能力は、またしてもそがれている。欧米の軍事費は増大する可能性が高い。経済のグローバル化は後退するだろう。一方、米国の政界では、国際主義者と新孤立主義者を隔てる水面下の亀裂が、共和党を中心に顕在化しつつある。
ロシアの侵攻、ウクライナだけでなく世界も一変
揺らぐ冷戦後の安全保障、NATOは結束を新たに
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