ロシアがウクライナに戦争を仕掛けたことを受けて対応策の論議が交わされているが、その内容は、大国間の競争が展開される世界の中での米国の影響力の現実との乖離が目立ってきている。冷戦後の一時代には遠隔地の紛争、特に欧州で起きた紛争に際し、米国と利害関係が薄い事例でさえも、超党派で連携した米政界のエリートたちが米国の力の行使を容易に実現できた。しかしその後、政治情勢は変化した。イラクとアフガニスタンでの20年に及んだ反政府勢力との戦いを経て、米国民が外国の出来事への関与にうんざりしていることは理解できる。さらに、米国の最大の戦略的競争相手として中国が台頭するのに伴い、インド太平洋地域に新たに注力する必要が生じているとのコンセンサスが強まりつつある。米国がなぜロシアのウラジーミル・プーチン大統領の冒険主義を気に掛ける必要があるのか、彼の行動を止めるために米国の威信、外交上の資源、武器輸出、経済的繁栄を差し出す必要があるのかといった声が、左派と右派の双方から聞かれる。
【寄稿】ロシアと中国の攻勢、確実な抑止方法は
同盟国に責任を持たせ、主要なパートナーを助け、エネルギー面で主導権を握るべき
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