ロシアのウクライナ侵攻に対して、スイスでさえ行動を起こす必要にかられるほど、中立を保つことは困難と思われる。だが、サウジアラビアと同国を盟主とする石油輸出国機構(OPEC)は、現時点で外交的な綱渡りをいとわない姿勢をとっている。石油が染みこんだ道は、時間とともに滑りやすくなるだろう。OPECとロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は2日、4月の増産量を日量40万バレルとする現行の計画を維持することを早々にと決定した。原油相場はここ数日急騰しているにも関わらずだ。OPECプラスの会合後、ブレント原油先物価格は一段高となり、1バレル=113ドルと9年ぶり高値を付けた。原油価格は年初来約45%上昇している。OPECは声明文で、現在の石油市場のファンダメンタルズは「均衡のとれた市場」を示しており、現在の値動きの荒さは市場のファンダメンタルズが要因ではなく、地政学的な進展によるものと指摘した。