伸びる会社は実践している、人事異動の2つの原則Photo:PIXTA

ネガティブな内示は
理由をはっきり伝えるべき

 春は、人事異動の季節です。希望する部署へ異動を願う社員、今の部署にとどまりたい社員、思いはさまざまでしょうが、社員の希望をすべてかなえる人事異動はありません。人事異動は人材を適材適所に配置する目的で行うため、異動に不満を持つ社員もいます。経営の基本中の基本は「お客さま第一」で、そのためのベストの布陣を敷かなければなりません。そのうえで、異動する本人のキャリア上、長期的に見て良い異動かを考える必要があります。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 本人にとっては不本意な異動ももちろんあると思いますが、上司が部下に異動を内示する時は、十分に納得してもらうように、丁寧に話す配慮が必要です。その際、曖昧な表現では誤解が生じてしまいます。そして、普段から「お客さま第一」の社風を作っておくことも重要です。

 例えば、部下の能力が今の仕事が求めるレベルに達していないという理由で異動させる場合は、今の仕事を遂行するには能力が不足していることをはっきり告げて、「今の実力では、お客さまや働く仲間に迷惑をかける」と話したうえで、「異動先の仕事は○○の理由であなたに向くと思う」「これから先のキャリア形成に役に立つと思う」とフォローするのが正しい人事のやり方です。