役員になれる人と、どれだけ実績があっても出世できない人の「決定的な差」Photo:PIXTA

従来、過去の実績の延長線上にあった役員ポストの位置付けが変わりつつあります。技術革新とグローバル競争が日々目まぐるしいスピードで進む時代においては、今の事業や組織の延長線上に会社の未来を描くことができないからです。では、どのような人が今役員として求められているのか。米国系企業のマネジング・ディレクターの選考基準と比較しながら、変わりつつある日本企業の役員選考基準を解説します。(アークス&コーチング代表 櫻田 毅)

米国系企業が上級ポジションの候補者に
「ある質問」を問いかけるワケ

 外資系の金融機関やコンサルティングファームにはマネジング・ディレクター(MD)という上級ポジションがあります。役割としては各部門の最高責任者で日本企業の執行役員に近いイメージですが、経営会議メンバーとして経営に参画するなど、かなり経営側に位置します。

 一般社員と比べて権限やステータス、ストックオプションなどを含めた報酬に格段の違いがあるため、MDになれるかなれないかは社員にとって大きな関心事です。会社側もMDへの登用人事は極めて慎重に取り扱います。

 ある米国系企業の知人によると、同社ではMDへの昇格候補となっている人に対してそのことを伝えた上で、「なぜ、あなたがMDになるべきなのか?」という質問をするそうです。その理由は、MDとして必要不可欠な「あること」が候補者に備わっているかどうかをチェックするためです。