中国の方が日本より女性の地位を重視?
3月8日は国際女性デー(International Women's Day)だった。中国ではこの日が重んじられてきたが、日本では、これまであまり話題にされなかった記念日の一つだ。私が1980年代前半に日本に移住した当初、日本では記念日に大抵にぎやかなイベントを行うのに、なぜ女性の地位を守るためのこの重要な記念日が無視されてしまうのかと、かなり戸惑いを覚えた。
調べてから、ようやく「これは社会主義圏の国々が大事にしている記念日だ」と悟り、日本社会の対応ぶりをそれなりに納得できた。とはいえ、国連が1975年(国際婦人年)にこの日を「国際婦人デー」と定めたので、日本もこの日に、もう少し記念日らしいイベントなどをにぎやかにやってもいいのではと思う。
実は、日本に移住してから、もう一つ戸惑いを覚えたのは、妻の身分だ。
移住当初、家族滞在ビザだった妻は、書類の職業欄に「主婦」と記入することに抵抗を覚えた。私と同じく上海外国語大学日本語専攻を卒業した妻は日本に来るまで、上海の大手貿易会社に勤め、給料も私のそれを上回っていた。それだけに、日本では夫に依存して暮らすことを宣言するかのようなこの書き方に、プライドとしても拒絶反応を起こしたのだ。妻の立場と気持ちを理解した私も同じ気持ちだった。
中国人女性は、毛沢東の時代から女性が「天の半分を支える」というスローガンで、社会の運営の半分を支えようと鼓舞されてきた。そして、家庭の中ではむしろ「天の大半」を支えている。
女性の地位向上の象徴として打ち出されたこのスローガンのもとで、女性の社会進出は文革時代に過激に進み、高圧送電線の架線作業の現場まで女性が進出した。社会地位の平等化を求める「天の半分を支える」理念は、場合によって単なる労働力の安易な供出につながってしまう問題も発生していた。こうした問題は、今ではかなり是正されたと思うが、まだ根絶できていない。
一方、中国女性の社会進出と地位の向上においては、確かに大きな進歩があった。