発売直後から大きな話題を呼び、中国・ドイツ・韓国・ブラジル・ロシア・ベトナム・ロシアなど世界各国にも広がった「学び直し本」の圧倒的ロングセラーシリーズ「Big Fat Notebook」の日本版が刊行される。本村凌二氏(東京大学名誉教授)「人間が経験できるのはせいぜい100年ぐらい。でも、人類の文明史には5000年の経験がつまっている。わかりやすい世界史の学習は、読者の幸運である」、COTEN RADIO(深井龍之介氏 楊睿之氏 樋口聖典氏・ポッドキャスト「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」)「ただ知識を得るだけではない、世界史を見る重要な観点を手に入れられる本! 僕たちも欲しいです」、佐藤優氏(作家)「世界史の全体像がよくわかる。高度な内容をやさしくかみ砕いた本。社会人の世界史の教科書にも最適だ」と絶賛されている。『英文法基礎10題ドリル』などの著者で、大手予備校英語講師の田中健一氏は「歴史が好きで英語の勉強をしたい人に今世紀最大の朗報です」と、『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』をTwitter(@TNK_KNCH)でも熱烈に紹介している。日本語版もロングセラーとなっている本書の魅力について、田中氏に書評を寄稿していただいた。(初出:2022年3月18日)

人気予備校講師が「世界史の勉強をしたい人に今世紀最大の朗報です」と絶賛する一冊とは?【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

書店で発見!

 私は今では予備校で英語講師をしていますが、大学での専攻は西洋史でした。高等学校で世界史を担当したこともあります。大学に入学した当初は英語学と西洋史学のどちらかを専攻しようと思っていたのですが、『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)などで有名な川北稔先生の講義を受けて猛烈に感動し、悩んだ末に西洋史学を選んだのでした。

 私は英語も世界史も好きなので、「EVERYTHING YOU NEED TO ACE WORLD HISTORY」(WORKMAN PUBLISHING)を数年前に名古屋の丸善で発見して以来、自分が愛読すると同時に、世界史選択の受験生には「多読の教材として読むといいよ」と薦めてきました。

 ただ、日本語訳がない英語を多読するのは「誤読」を積み重ねることになる危険性があるので、(翻訳が出るといいのになあ。私が日本語訳を作って生徒に渡してもいいけど、ちょっと時間的に厳しいなあ…)と思っていました。

 つい先日、書店で『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』を発見し、表紙を見た瞬間に(え! もしかして、これ、あれの翻訳じゃないの?)と直感し、手に取って開いてすぐに(やっぱりそうだ!)と判りました。

 このシリーズは、クラスで1番賢い生徒が書いたノートという設定になっています。カラフルで見ていて楽しいのも魅力のひとつですが、1文1文が平易で、読みやすくなっているのも特徴です。

『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』カール大帝(シャルルマーニュ)

 ノートと言っても箇条書きになっているわけではなく、きちんとした解説文になっています。大ベストセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズ(語学春秋社)がコンパクトにまとまった感じの英語の本があり、その翻訳が出たと言えば、世界史マニアの皆さんにはイメージしやすいかもしれません。

 世界史好きの人は英語版と日本語版を読み比べることで英語の勉強をするのが楽しいかと思います。英語の1文を読み、それが日本語でどのように訳されているのかを確認するのもいいですし、逆に日本語を読んでから英語を読むのもいいでしょう。段落ごとに英語と日本語を行き来しても構いません。要はその時の気分や体調で、好きなように読んでいくのが継続のコツです。

つまみ食い的に読んでも良い

 少し、具体的に見てみましょうか。

【英語版】
In March 1917, Russia’s terrible wartime conditions led to strikes and demonstrations in its capital(then called Petrograd and now called St. Petersburg).

【日本語版】
1917年3月(ロシア暦で2月)、戦時中のロシアの悲惨な状況に耐えかねて、首都ペトログラード(現在のサンクト=ペテルブルク)でストライキやデモが続発した。

 ここでは因果関係を示す重要表現A lead to B「AはBにつながる」(Aが原因、Bが結果)を学べますし、英語ではstrikes and demonstrationsと複数形になっているのを「ストライキやデモが続発した」と翻訳しているのも(なるほど、そう訳したか!)と勉強になります。

(こういうご時世だから、学生時代は苦手だったけど、世界史を学び直したいな)と考えている人にとっては優れた入門書になるでしょう。日本語版には索引も付いています(これは本当にありがたいことです)。好きな時代・地域を選び、つまみ食い的に読んでみるのがいいと思います。

 このとき、『最新世界史図説タペストリー』(帝国書院)を合わせて読むと理解が深まり、そして世界史のことがさらに好きになるでしょう。気が向いたら英語版も合わせて読んでみてください。

アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』1冊で世界史を学び直すこともできますし、「EVERYTHING YOU NEED TO ACE WORLD HISTORY」と合わせて読むことで英語の勉強にもなります。国際情勢の雲行きが怪しい今日この頃ですが、学習者にとってはいい時代になったと思います。

田中健一(たなか・けんいち)
大手予備校英語講師
1976年・愛知県生まれ。愛知県立明和高等学校、大阪大学文学部(西洋史)卒。名古屋大学文学部(言語学)中退。著書『英文法基礎10題ドリル』『英文法入門10題ドリル』『英文読解入門10題ドリル』は全国の中学・高校だけでなく大学でも採用されている。近年では予備校だけではなく、YouTubeやオンラインサロンなどでも英語学習に役立つ情報を提供している。