毎月3万3000円以上赤字な理由
Yさんの今の収入は、手取り約21万円。毎月、生活するだけで赤字になっている状況です。さらにそこへ、iDeCoで月に2万3000円ずつ掛けていく設定にしていたのです。投資にお金が積み上がるとはいえ、毎月の赤字は3万3000円を超えるほどに。この金額を、今は120万円ほどある貯金から切り崩して出しているのですが、その深刻さというか問題点に気が付いていません。
ボーナスから補填（ほてん）をすればいいという考え方もありますが、転職したてで1年ほど支給予定はなく、支給が始まっても年2回の支給総額は約40万円、手取りにすると年間35万円にも満たない金額です。毎月の赤字補填には足りず、貯金を増やせる見込みがないのです。
いずれ、家計か資産かどちらかが破綻する
横山光昭『知識ゼロですが、つみたてNISAとiDeCoをはじめたいです。』（インプレス）
このままではやがて、iDeCoを優先すると生活が困窮し、生活を優先するとiDeCoに掛け金を拠出できない状態に陥るでしょう。今後の転職についても考えなくてはいけませんが、まずは収入が減った状況なら、それに合わせて支出の仕方をコントロールすることを身に付けたいところです。しかし、これまでの生活に取り入れたことを簡単に切り離すことができず、支出も減らせずにいます。
より年齢が若いうちに始める投資は、将来大きく膨らむ可能性がありますし、非常に有益なことだと思います。ですが、それはあくまで家計の中で無理なく掛け金の捻出ができることが条件です。無理な投資は、家計運営も、資産形成もうまくいかなくなる原因となるのです。現状の把握と、少し長い期間を俯瞰（ふかん）するようにしていきましょう。
