幅広く世界の資産に「分散投資」するのが、投資の王道
たとえば、2020年についてみると新興国株式のリターンが最も高く、新興国株式に投資すれば年12・12%で運用できたことがわかります。
2番目にリターンが高かったのは先進国株式で、10・18%。以下、国内株式7・39%、先進国債券5・33%、新興国債券マイナス0・56%、国内債券マイナス0・75%となっています。
しかし2018年には、2020年に最もリターンが高かった新興国株式は、リターンが8資産中7番目でマイナス15・76%。
2020年に2番目にリターンが高かった先進国株式も2018年には、マイナス9・41%。最もリターンが高かったのは国内債券で0・95%でした。
つまり、この表のデータからわかるのは、各資産の順位が毎年めまぐるしく変わっていることです。その年に最も値上がりする資産を事前に当てるのが非常に難しいことはいうまでもありません。
それでは、個人投資家はどうすればいいのか? その答えこそ「分散投資」です。
「次にどんな資産の価格が上昇し、どんな資産の価格が下落するのかは予測できない」という前提に立てば、どの資産が上昇しても下落してもいいように、幅広く世界の資産に投資する「分散投資」が最も有効な手立てとなります。
目先の価格が下がるものも、上がるものも、とにかく全部買っておいて、トータルで「世界経済の成長」という果実を手にするのが、投資の「王道」でしょう。
モーニングスター株式会社 代表取締役社長。
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『つみたてNISAはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『iDeCoで自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。