バラク・オバマ元米大統領はまだイリノイ州選出の新人上院議員だった頃、初の外国訪問で、危険な生物物質を扱うウクライナの施設に連れて行かれた。倒壊しそうなその施設では、米当局者が生物兵器の製造を手伝うのではなく、死に至る危険な病原体がテロリストの手に渡らないよう管理に当たっていた。  「炭疽病を起こすバクテリアである炭疽菌の入ったガラス製薬瓶のトレーを取り出した」。ウクライナ政府の協力の下で行われていた米国支援の同プログラムで、米国防総省の担当幹部を務めていたアンドリュー・ウェーバー氏は当時をこう振り返る。そのトレーを「懸念を隠せない若き上院議員に」見せたという。