いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。
AIで置き換えられる投資家、生き残る投資家
これから金融業界で、AIの発達がどのような影響を及ぼしそうかに関心がある方もいるでしょう。
株式投資の世界では、近年、AIの活用が進んでいます。いまはAIで儲けられると断言できるまでにはなっていませんが、AIは属人的な判断をつぶす方向で機能することはよく理解しておくべきでしょう。
AIは、人間では合理的判断ができないポイントをとらえてその逆の判断を下すことができます。しかも、人間が常時ウオッチできる銘柄数が10程度だとして、AIはプログラミングすればすべての上場企業をウオッチすることができます。ですから、いずれ人間は太刀打ちできなくなるはずです。
しかし投資の世界には、AIが太刀打ちできない分野もあります。それはベンチャー投資、エンジェル投資です。
ベンチャー企業に投資する場合、特にスタートアップについては、過去の業績の推移を見ることができません。立ち上げたばかりなのですから、業績が「ない」のです。
それでは投資家が何を見て投資判断を下すのかと言えば、「人」です。創業経営者を見て、この人だったらきっと事業を成功させて儲けてくれると思えるかどうか、その人を好きになれるかどうかで投資をするのです。
これはAIにはとても判断できないでしょう。
近年、ベンチャー投資やエンジェル投資に参入する投資家が増えています。
それは、AIの発達を見据えたとき、最後に運用で付加価値を出せるのはここしかないからだというのも理由の1つでしょう。
これから投資家を目指す人は、上場株投資がAIの独擅場になる可能性も視野に、未上場株投資についても関心を持っておく必要がありそうです。
(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)