いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

「仕事は何ですか?」と聞かれたとき、社名を答えると危ない理由Photo:Adobe Stock

肩書で生きている時代は終わった

終身雇用が崩れたと言われて久しく、「1つの会社で勤め上げる時代は終わりつつある」ということは多くの人が認めるところでしょう。

電通が40歳以上の社員を対象に個人事業主として契約する制度を導入したり、サントリーホールディングス新浪剛史社長の「45歳定年」発言が波紋を呼んだりした例が示すように、会社に居座れないようにする施策はこれからもどんどん出てくるはずです。

そもそも日本人は、自分は何の仕事ができるのか、何の仕事をしたいのかということについて無頓着な傾向があるように思います。

かつて私が日本の銀行で働いていた頃、著名ファンドマネージャーから「日本人は『あなたの仕事はなんですか』と聞かれると『私は部長です』などと肩書を言う人が多い。外国人なら『私は○○ができます』と言う。日本人は肩書きで生きている」と言われたことがあるのですが、私もこの見方はあながち外れていないと感じるのです。

あれから30年ほど経って時代は大きく変わり、社会は「何ができるか」「何をしたいか」で仕事を選ぶ方向に変化しています。それなのに、いまだに仕事は何かと尋ねられて「私の勤務先は○○社です」と答えたり、所属先をステータスと勘違いしたりしている人もいます。

そのような人が40代、50代で会社から見放されたら、どうなってしまうのでしょうか。

いまはまだ移行期ですから、たとえば電通の新しい制度でも「10年間は一定の固定給を保障する」といった仕組みが用意されています。しかしいずれはそういった保障もなくなっていくはずです。

そのとき、残るのは自分のスキルです。

これからは、「自分のスキルを磨ける職場で働く」ことがより大きな意味を持つようになるでしょう。

スキルというのは、エンジニアやポートフォリオマネジャーなどの業務をこなせるスキルだけでなく、コミュニケーションスキルなども含みます。スキルの種類は問いませんが、若いときから

「いま身につけている自分のスキルは何なのか」を意識できる職場に身を置くことが大切です。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)