妥協せず、最後まで100点以上を目指す

実は、チューハイの新商品開発の際にこんな出来事がありました。

チームが本命としていた案に、技術部門から「実現が不可能なため断念してほしい」と、要望されたのです。発売まで時間がなく、危機的な状況です。

すぐさまチームで、数日かけて代替案を検討しました。その結果、まずは暫定商品(80~90点)で参入。技術が追いついた段階で、第二弾の本命(150点以上)を投入するシナリオでいこうという結論に達しました。私も自分自身を「現実的で着実な、大人の方策」と納得させました。

しかしその夜。チームで打ち上げを兼ねて飲みにいった席でのこと。若手メンバーから、「100点でない商品はお客様に失礼だし、最初がそれでは悲しい。時間がかかっても100点満点以上の商品を届けたい。お客様の満面の驚きの笑みを見たい!」という発言が飛び出しました。

その言葉に、皆が我に返り「よし! じゃあ300点満点を目指そう!」となりました。現実的な妥協策は一日ももたずに姿を消し、翌日イチから開発をやり直し、「氷結」が誕生したのです。

(本原稿は、和田徹著『商品はつくるな 市場をつくれ』を編集・抜粋したものです)