「世の中をあっと言わせる企画を作りたい」「自分の夢を仕事で実現させたい」「ユーザーの気持ちがわからない」「企画書が通らない」「プロジェクトを成功させる方法が知りたい」など商品開発や新規事業を生み出す上でのあらゆる悩みを解決!
本連載の著者は「千に三つ」や「一生涯一ヒット」と言われる食品(飲料)業界において「氷結」「スプリングバレーブルワリー」「淡麗」「キリンフリー」など数々のヒット商品を生み出してきた和田徹氏。実は入社から12年間、ヒット商品ゼロだったという著者なぜ、失敗だらけだった人が、ヒット商品を量産できるようになったのか? 売れ続ける商品づくりの全技法を明かしたのが『商品はつくるな 市場をつくれ』(3月15日刊行)という書籍です。刊行を記念し、本書の一部を特別に公開します。

「魅力的な企画を生み出し、提案上手にもなれる」4段階企画書術とは?Photo: Adobe Stock

企画書は商品を「磨き上げる」もの

私にとって、企画書とは商品を提案するのではなく、磨き上げるためのものです。

商品づくりの企画書だからといって、自分がつくりたい商品や、ひらめいたアイディアをそのまま記してあるのは企画書ではありません。それは、単なるアイディア紹介です。

では、企画書をつくる目的は何でしょうか?

それは、読んだ人にアクションしてもらうこと。こちらの意図を伝え、一緒に動いてもらったり、思いもよらなかった意見や視点をもらったりすることです。

もし、ディスカッションのタタキ台として使いたいのなら、読んだ人が「じゃあ、これはどうかな?」と、さらに面白いアイディアをいいたくなるものをつくります。

もし、社長からゴーサインをもらうためなら「これはやるべきだ!」と即決できる、確信させる材料が盛り込まれたものをつくります。

「誰が読むのか?」
「どう動いてもらいたいのか?」

これを整理していくと、企画書は、次の4段階に分けられます。

企画書は4段階

STEP1 自分向けの企画メモ
頭の中にあるアイディアや構想(空想・妄想)などを、言葉や絵、概念図としてメモしておく。その考えを整理したり、発展、拡張させたりする自分用の企画書。

STEP2 ディスカッションメモ(タタキ台)
チームメンバーとより良いアイディアに仕上げるために、みんなでディスカッションをするときや近しい人に意見を聞くときに見せる企画書。

STEP3 商品企画書
上司や同部署内、他部門、外部のクリエイターに伝えるための企画書。商品コンセプト、仕様や特徴、マーケティング戦略などの内容を説明するときに使う。各要素をほぼ完成させ、簡潔に整理。

STEP4 提案書
経営陣に正式な承認をもらう。社内や得意先などへのプレゼンテーションで使う提案書類。相手が意思決定するのに必要な情報、具体的試作、試算、課題などを盛り込む。

このように、商品開発の段階が進むにつれて、企画書が担う目的は変わってきます。

業種や組織によっての違いもあるとは思います。私の場合、ひとつの商品を世に送り出す中でつくる企画書は、STEP1の「自分向けの企画メモ」に最も時間をかけ、これが商品づくりの第一歩だと思っています。

(本原稿は、和田徹著『商品はつくるな 市場をつくれ』を編集・抜粋したものです)