――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」 ***  食料備蓄の水準は世界全体でみると、心地良いレベルにみえるかもしれない。だが、現実にはウクライナでの戦争を受けた穀物不足に対処できる備えがあるのは、一握りの政府に限られる。  国連食糧農業機関(FAO)の分析によると、小麦やトウモロコシといった重要な穀物の世界の在庫利用比率(年間需要に対する在庫の比率を示す指標)は、年末時点で29%になる見通しだ。これは新型コロナウイルス禍前よりも低いが、そこまで懸念すべき水準ではない。  しかし、その数字は実態を正確には表していない。