国際情勢を見るのに、地政学の視点は欠かせない。地理・世界史・民族。これら3枚のレンズを通すと、各国固有の事情が浮かび上がってくるのだ。本連載『ウクライナ危機の本質がわかる「地政学」超入門』では、最近再び脚光を浴びている地政学の基本や、地政学の観点から見えてくる各国ならではの事情をお届けする。今回は、地政学的視点から見た「アメリカ特有の事情」と、現在直面している困難について解説しよう。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
米国が抱える地政学的事情
「世界の警察」は引退?
「米国は世界の警察官ではない」──。2013年9月、当時のバラク・オバマ大統領はテレビ演説の場でこう宣言した。
そもそも、米国はなぜこれまで「世界の警察」を続けられていたのだろうか。米国の歴史や統計データなどから振り返ってみよう(下図参照)。
次ページでは、米国から見た世界を地図で示すとともに、同国が「世界の警察」を続けられてきた理由を地政学の視点で分析する。