北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行った4年前、米国と同盟国は中国とロシアの支持を取り付け、強力な制裁の発動を実現した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制はここにきて、さらに大きな威力を持つICBMを発射している。だが、世界の環境は一変した。そして米国に残された対応の選択肢は狭まりつつある。「われわれが後退しているという点で、これは冷戦時代のようだ」。米外交評議会(CFR)の北朝鮮専門家、スコット・スナイダー氏はこう指摘する。「要するに、打てる手段がなくなりつつあるため、(北朝鮮への)対応がさらに困難になったということだ」北朝鮮が2017年にICBM(推定では米本土を射程に収める)を発射したことは、北朝鮮と近い中国とロシアにとってすら、明らかに行き過ぎだと考えられていた。この長距離ミサイル発射の結果、北朝鮮への燃料輸出制限と外貨獲得手段となっている出稼ぎ労働者の送還などを盛り込んだ制裁が科された。ところがロシアのウクライナ侵攻を受けて、今回は国連安全保障理事会で合意を得られる余地はほぼ消えた。
北朝鮮ミサイル発射、国連の機能不全を見透かす
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