バフェットの遺言

そんな世界No.1の投資家である91歳のバフェットが妻に宛てて残している遺言書を紹介します。《資産の90%をS&P500の投資信託へ》。

つまり「自分が死んだ後、世界最高の投資家はS&P500だ」とバフェットが認めているのです。彼が現在、最も巨額の投資をしているのはAppleです。バークシャー・ハサウェイの投資先の約40~50%を1社で占めます。S&P500でも最も影響力があるのはAppleですので、彼の投資方針は死後も一貫していると言えるでしょう。

「バフェットが突然Appleを爆買いしたぞ!」という2016年のニュースは世界中で話題になりました。実際、私自身も「なぜ今さらAppleなんだ?」と強く疑問をもちました。しかしその数年後にApple株は急上昇、世界No.1の規模の成長をし、世界No.1の時価総額の会社になりました。この先見の明は世界中の投資家たちを驚かせました。

ちなみにバフェットは日本に目をつけて2019年から5大商社に投資をしました。当時は「なぜ日本?なぜ総合商社?」と私は強く疑問に思っていましたが、数年経つと、5大商社の株価は急上昇してバフェットの未来予測は見事に当たったのです。上がり続けるチャートを見ながら私はバフェットに敬礼をしました(商社株は持っていませんでしたが)。

バフェットの遺言書を知って「今さらS&P500? すでに30年間で13倍になっているのに?」と感じたり、「AppleもMicrosoftもGoogleも、これ以上の成長の余地はないのでは?」と捉える人もいるでしょう。

バフェットは今までどんな株を買っても、世界中の証券会社やアナリストから「彼は老いぼれになった」と批判され続けました。「今さらApple? なぜ5大商社?」と笑われるのも想定内でした。最終的には彼の予言は的中しているのです。欲を捨てて長期で信念を持ち続けることが投資の成功のコツだと、生ける伝説として我々に大切な学びを与えてくれています。

南 祐貴(みなみゆうき・セカニチ)
世界最高の投資家を知っていますか?

Koru-workers株式会社 代表取締役。
1989年東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社、約6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディングなどで資金を集めて高輪ゲートウェイ駅近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「#世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」を開始。生放送コミュニティ・オンライン学習サービスの「Schoo」では、国内最大級6200本の授業から「ベスト授業&ベスト先生」の2冠に輝く。本書が初の著書。各SNSで毎日情報発信。インスタグラムのフォロワーは2万人以上。『世界一面白くてお金になる経済講座』が初の著書。