全世界で700万部を売り上げた学び直しシリーズ、「Big Fat Notebook」の日本語版がついに刊行! 大栗博司氏(カリフォルニア工科大学教授)「この一冊で、科学の全貌が見渡せる。中学生のころにこんな本がほしかった」、市岡元気氏(教育系Youtuber)「学校で習う理科がこんなにおもしろいなんてアリエナイ!」、吉森保氏(大阪大学栄誉教授)「カラフルで面白い。ノート風なので読みやすい。大人の学び直しにも最適」と各氏も大絶賛。物理・生物・化学・地学の基本を楽しく一気読みできる本として、大きな話題を読んでいる。
同シリーズの科学版『アメリカの中学生が学んでいる14歳からの科学』の発売を記念して、本文の一部を公開する。

アメリカの中学生が学んでいる「遺伝子」の授業【全世界700万人が感動!】Photo: Adobe Stock

遺伝とは何か?

 遺伝学とは、遺伝子がどのような作用をするか、どのようにして親から子に特徴が受け継がれるかを探る学問のことである。君の見た目や振る舞い方の大部分は、遺伝によって決まる。ある世代から次の世代に特徴が受け継がれることを遺伝という。

 遺伝的特徴(形質)は、1つの個体に関するほぼあらゆる特徴を含む。ヒトの形質というと、髪や瞳や皮膚の色、および身長などがもっとも目に付くが、そのほかにも、睡眠周期や攻撃性など、行動に関するものもある。

 遺伝子は染色体の一部に相当し、DNAに書き込まれている。各遺伝子はペアを作っていて、ペアの間で型が異なることがある。その遺伝子の型のことをアレル(対立遺伝子)という。一方のアレルがもう一方のアレルよりも影響力が強く、もう一方の形質を覆い隠してしまうことがある。その強いほうのアレルを顕性(優性)アレルといい、覆い隠されるほうのアレルを潜性(劣性)アレルという。

アレル(対立遺伝子):ある遺伝子の1つの型
顕性(優性)アレル:つねに発現するアレル
潜性(劣性)アレル:顕性アレルに覆い隠されるアレル。発現するのは両方の遺伝子が潜性アレルのときに限られる。

 潜性アレルが形質に表れる(発現する)のは、両方のアレルが潜性のときに限られる。各遺伝子の顕性アレルは大文字で、潜性アレルは小文字で書く。たとえばエンドウマメの場合、豆を丸くするアレルとしわしわにするアレルを、それぞれ文字「R」と「r」で表す。

 一方の遺伝子が顕性アレルでもう一方の遺伝子が潜性アレルの場合には、顕性アレルが形質として発現し、潜性アレルは発現しない。そのため形質を見ただけでは、その個体がどんなアレルを持っているかは予測できない。

 個体が持っている遺伝子の種類のことを遺伝子型、発現する形質のことを表現型という。遺伝子型は観察できないが、表現型は観察できる。

遺伝子型:個体が持っている遺伝子の種類
表現型:発現して外から観察できる形質

 顕性アレルが2つ、または潜性アレルが2つというように、2つの同じアレルを持っている個体は、その形質に関してホモ接合型であるという(エンドウマメの場合、RRまたはrr)。2つの異なるアレル(顕性アレルと潜性アレル)を持っている個体は、その形質に関してヘテロ接合型であるという(エンドウマメの場合、Rr)。

ホモ接合型:2つの同じアレルを持っている個体
ヘテロ接合型:2つの異なるアレル(顕性アレルが1つと潜性アレルが1つ)を持っている個体
アメリカの中学生が学んでいる「遺伝子」の授業【全世界700万人が感動!】