「パネットの方形」で
形質を受け継ぐ確率が予測できる

 遺伝について本格的に研究した最初の人物が、オーストリアの科学者で修道士のグレゴール・メンデルである。修道院で庭いじりをしていたメンデルは、エンドウマメの豆の色、花の色、さやの形や色などの形質が、決まったパターンに従って遺伝することに気づいた。そこで何世代にもわたって1つひとつの形質を追いかけ、どの形質が顕性でどの形質が潜性であるかを突き止めた。メンデルの考えたことをまとめると、次のようになる。

・1つの形質は2つのアレルによって決まる。
・アレルには顕性のものと潜性のものがある。
・繁殖の際には染色体が分かれ、それぞれの生殖細胞が1つの形質に対して1つのアレルをもらう。そのため親の生殖細胞が合体すると、子はそれぞれの親から1つずつのアレルをランダムにもらうことになる。

アメリカの中学生が学んでいる「遺伝子」の授業【全世界700万人が感動!】

 何千株もの植物を交配させたメンデルは、特定の個体が特定の形質を受け継ぐ確率を予測する方法を見出した。

 子がある形質を発現させる確率を計算するには、パネットの方形という表を使う。たとえば、丈の高いヘテロ接合型の個体をTt、丈の高いホモ接合型の個体をTT、丈の低いホモ接合型の個体をttと表したとする。

 パネットの方形の上辺と左辺の外側に、それぞれの親のアレルを書く(どちらの親を上辺に書くかは気にしなくていい)。するとそれぞれのマス目に、子が持つ可能性のあるアレルの組み合わせが入る。それぞれの親が子にアレルを1つずつ与えるため、下の図のように、各マス目にはそれぞれの親からもらったアレルが1つずつ入る。

アメリカの中学生が学んでいる「遺伝子」の授業【全世界700万人が感動!】

 この場合はたまたま、どちらの親も丈の高さに関してヘテロ接合型である。したがって、丈の高い子ができる方法は3通り(TTTtTt)あり、丈の低い潜性の表現型を発現させる子ができる方法は1通り(tt)である。

 それぞれのマス目が子に相当するため、Ttの親とTtの親からTTという遺伝子型の子ができる確率は(25%)、Ttの子ができる確率は(50%)、ttの子ができる確率は(25%)となる。表現型(発現する形質)で言えば、(75%)が丈が高く、(25%)が丈が低くなる。

注意:これはあくまでも確率にすぎない。4株の子ができたときに、ちょうど3株が丈が高くて1株が丈が低くなるとは限らない。2株と2株かもしれないし、4株と0株かもしれない。でも400株できたら、丈の高いのが約300株で、丈の低いのが約100株になるだろう。

(本原稿は、『アメリカの中学生が学んでいる14歳からの科学』から一部を編集・抜粋したものです)