20歳を堺に断絶した感覚。もはや最先端は10代に
平尾：面白かったのは、年配の方と若者の対立が、対立ではなくパラレルに描かれていることです。佐藤さんは二元論や二律背反という概念がお好きだと思ったのですが、それすらも超越していく世界が『世界2.0』で語られていたのが興味深かったですね。
平尾 丈（ひらお・じょう）株式会社じげん代表取締役社長執行役員 CEO
1982年生まれ。2005年慶應義塾大学環境情報学部卒業。東京都中小企業振興公社主催、学生起業家選手権で優秀賞受賞。大学在学中に2社を創業し、1社を経営したまま、2005年リクルート入社。新人として参加した新規事業コンテストNew RINGで複数入賞。インターネットマーケティング局にて、New Value Creationを受賞。
2006年じげんの前身となる企業を設立し、23歳で取締役となる。25歳で代表取締役社長に就任、27歳でMBOを経て独立。2013年30歳で東証マザーズ上場、2018年には35歳で東証一部へ市場変更。創業以来、12期連続で増収増益を達成。2021年3月期の連結売上高は125億円、従業員数は700名を超える。
2011年孫正義後継者選定プログラム：ソフトバンクアカデミア外部1期生に抜擢。2011年より9年連続で「日本テクノロジーFast50」にランキング（国内最多）。2012年より8年連続で日本における「働きがいのある会社」（Great Place to Work Institute Japan）にランキング。2013年「EY Entrepreneur Of the Year 2013 Japan」チャレンジングスピリット部門大賞受賞。2014年AERA「日本を突破する100人」に選出。2018年より2年連続で「Forbes Asia's 200 Best Under A Billion」に選出。
単著として『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』が初の著書。
箕輪：お互いに見えないということですか。
佐藤：そう。視界にない。
平尾：すごい世界がやって来ると思いました。
箕輪：存在するのに見えていないという点について、僕は子どもがオンラインゲームの「Fortnite」をやっているからわかるんですけど、普通のおじさんが読むと「嘘だろ？」と思うことがこの本にはたくさん書いてあります。でも、それは未来予測ではなく、すべて今の子どもたちが実際にやっていることなんですよね。
佐藤：それも視界に映っていない。
箕輪：うちの子も、どこかの地方の子どもとずっと喋りながらFortniteだけは続けている。そりゃ自分のリアルの服を買うお金より、ゲームの中の「スキン」を買うお金のほうが増える時代が来るはずです。実際、もう来ているんじゃないですか？
佐藤：自分が最先端だと勘違いしている大人に見えていない現象が、後ろ側に起こり始めているのがめちゃくちゃ面白いと思って。おそらく、起業家や20代のインフルエンサーたちは、自分たちが最先端を走っていると思っていると思うんです。SNSや動画を駆使して、いろいろなことを発信しながら、おじさん世代を揶揄している人たちですら、後ろ側から刺され始めている。しかも、刺されたことに気づいていない。
箕輪：さんざん煽ってきたのに、もう煽られる側か？ 嫌だよ（笑）。
佐藤：いや、もうめちゃくちゃ早いですよ。SNS・スマホ世代と、今回の3DCG・仮想空間メタバースの世代のところで断絶しているんです。20歳ぐらいからパッキリ割れている。20歳以上はTikTokやインスタグラム、YouTubeで有名になり、何百万人というフォロワーやチャンネル登録者を取るのが成功と考えているけれども、10代のゲームに関わっている人たちはそうでもない。YouTuberは憧れでもなく、かといってザッカーバーグになりたいとも思わない。起業家の背中も追っていないですね。孫正義さんにもまったく興味なし。まるで違う方向を見ているので、私たちが考えている未来とはまったく違うものを作り出していくでしょうね。本当の意味でのパラダイムシフトだと思います。
平尾：まさに次世代の天才たちですね。脅威でしかないです。
