「失敗してもいい」は勘違い?

箕輪この本にはメンタル的なことも書いてあるんですね。「諦めるまで失敗じゃない」。

平尾:そうなんですよ。「失敗力」は別解力とは違いますが、多くの人が共感してくださっています。もちろん、挑戦は大事です。ただ、「失敗してもいい」という風潮が、若い人の間でやや誤解されているところが気になるんです。「失敗してもいい」という風潮は、挑戦を促す意味では非常にいいことだと思うんですが、あらかじめ準備して避けられる失敗であれば、避けるための準備と努力はしたほうがいいという発想です。

箕輪:なるほどね。

平尾:私の周りにも若いスタートアップの起業家がたくさんいますが、その点は少し勘違いしている人もいるかもしれない。

箕輪:失敗を避けようとして結果的にする失敗じゃないと、何の意味もないですよね。

「自分が最先端だと勘違いしている人」と「テクノロジーを使いこなせる人」との決定的な違い箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
株式会社幻冬舎 編集者
1985年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2010年双葉社に入社。ネオヒルズとのタイアップ企画『ネオヒルズジャパン』を創刊し、3万部を完売。『たった一人の熱狂』(著)見城徹/『逆転の仕事論』(著)堀江貴文などの編集を手がける。2015年幻冬舎に入社後、NewsPicksと新たな書籍レーベル「NewsPicksBook」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』(著)堀江貴文、『日本再興戦略』(著)落合陽一など、編集書籍は次々とベストセラーに。2019年一番売れてるビジネス書、『メモの魔力』(著)前田裕二も担当。
2018年8月、自身の著書『死ぬこと以外かすり傷』を発売し14万部を突破。2019年12月には『マンガ 死ぬこと以外かすり傷』も発売。出版クラウドファンディングエクソダスにて1000万円を集め、2021年1月サウナ雑誌『サウナランド』を創刊。様々なブランドとコラボレーションを行い、「サウナランド」ブランドの展開や、各地でサウナランドフェスを開催している。

平尾:たしかに、失敗のほうが学べるのは事実です。とはいえ学習は目的ではなく手段なので、それが逆になっている現象はよく見かけます。

箕輪:たしかに、そうだ。

佐藤平尾さんの本を読んで思ったんですけど、私たちは不確実性が嫌いですよね。

平尾:嫌いですね。

佐藤:たぶん不確実性を憎んでいますよね。

平尾:そうですね。もちろん不確実性は可能性でもあるから、楽しんではいますけどね。

佐藤:はい、それは好きですよね。理解と準備をしたうえで、不確実性を楽しむ。

平尾:それでも、やはり私は嫌いかもしれない。セレンディピティ(幸運な偶然)という言葉はそんなに好きじゃない。コントローラブル、理解可能、集約できるという言葉が好きですね(笑)。その意味では、佐藤さんの『世界2.0』でディスラプト(破壊)される側にいるので、非常に危機感を覚えます。

佐藤:私も危機感を持ちましたよ。逆に言えば、だからこそ、この本を書きたいと思ったんです。自分の下の世代からすごい勢いでめちゃくちゃな天才が出てきているのに、それが見えていない。彼らが金と地位を手にしたときに、どれほどいまの世の中が崩壊するか、それがかなり目の前に来ている感覚がある。逆に言えば、チャンスでもある。