円安の先に危惧される「株式の死」、数十年に一度の長期低迷シナリオを覚悟せよ現下の急速な円安の先に危惧されるのは、国内外の市場において何十年に一度という規模の「株式の死」(株式相場の長期低迷)に至るシナリオだ Photo:JIJI

足元の急速な円安の先、危惧されるのは「株式の死」に至るシナリオだ――。市場経験約40年のベテランエコノミスト、神谷尚志氏は警鐘を鳴らす。なぜそう考えるのか、現下の投資環境で押さえたい「6つのポイント」などを基に解説してもらった。(市場エコノミスト 神谷尚志)

80年代からの長期的なトレンドが終焉
投資環境にパラダイムシフトが起きている

 急速な円安が起きている。市場では、このままいけば1ドル=150円と、1990年と同等のレベルまで円安が進みかねないとの見方すら出ているほどだ。

 主な背景は、米国の金利上昇で日米金利差が拡大していること、原油価格上昇で日本の貿易収支が悪化していること。円安は日本の輸出企業に有利であり、海外子会社の利益の円換算額が膨らむことから企業収益が改善し、株高につながると考える人もいるだろうが、現状はそう単純ではない。

 というのも、今や投資環境のパラダイムシフト(根本的な転換)が起きているからだ。1980年前半から始まった世界的なディスインフレ(物価上昇鈍化)や、金利低下という長期的なトレンドは終焉を迎えた。筆者はこれまで約40年にわたり、ファンドマネジャーなどとして市場と向き合ってきたが、足元ではそうした前提で相場を捉え直す必要があると考えている。

 そして、現下の急速な円安の先に危惧されるのは、国内外の市場において何十年に一度という規模の「株式の死」(株式相場の長期低迷)に至るシナリオだ。なぜそのように考えるのか、現下の投資環境で押さえておきたい「6つのポイント」などを踏まえながら、順にひもといていこう。