台湾、ウクライナ戦争に対中防衛策を探る台湾の新竹にある軍事基地で訓練に参加する兵士ら Photo: Joyu Wang/The Wall Street Journal

【台北】ロシアのウクライナ侵攻を受けて、台湾では中国による侵攻を想定した防衛強化の議論が熱を帯びてきた。武器や軍事戦術にとどまらず、兵役義務期間延長の是非についても議題に浮上している。

 台湾はすでに、近隣地域で近年緊張が高まっている状況を踏まえ、防衛増強の方策を探ってきた。しかし、台湾にとって「重大な警鐘」になったとされるウクライナでの戦争で、防衛強化に向けた機運に弾みが付いている。

 まず議論で浮上しているが、台湾の男性に課される4カ月間の兵役義務の延長だ。ただ、若者の間では兵役を嫌うムードが根強い。

 蔡英文総統の報道官は先週、台湾国防部(国防省)が兵役義務期間を延長すべきか検討していると明らかにした。直近の世論調査では、台湾成人の7割以上が延長を支持した。台湾の邱国正・国防部長(国防相)は先週、兵役義務期間を最大1年に延期する可能性を作業部会が検討していると議員らに明らかにした。年内に決定が下されるとしている。

 邱氏は「台湾で戦争が勃発すれば、現行規定に基づく4カ月の軍事訓練では十分ではない」と主張する。